2000年 4月 5日  よこすか芸術劇場
No 2   ムーンライトより  (2002/9/26掲載)

2000年 4月5日 よこすか芸術劇場

ロビーに飾ってあった花は
1.日本コロムビア
2.ルノンプロモーション

1回目のブザー:18:31
アナウンス:18:38
スタート:18:43

1.LaLaLa

MC.今年、2000年の初めてのコンサートは横須賀。横須賀は2年ぶりか。初めてで緊張している。1曲目の出だしを間違えた。2小節も前から「きー」と入ってしまった。ここはホテルが目の前。内容のある歌、内容のない歌。歌は自分の子供みたいなもので、公平に歌っていく。(どこから来ているというのに対して)横須賀以外から多くの人が来ているので、今日は早く終わる。(笑)

2.君は僕

3.車を止めて

MC.名刺代わりの2曲。真剣に聞かなくてもいい。「君は僕」。どんな事だ。良く分からない。今日は色々な歌を歌う。客の顔色を見ながら歌う。このツアーは今日にかかっている。(笑)皆さんが総合プロデューサー。メンバーは全員が違う色の衣装。(ここで遅れてきた人が座るのを待ってから、メンバー紹介。衣装の色はギターの好永さんは青、シンセの夏目さんはピンク、ピアノの加藤さんは赤、ギターの丸山さんは緑、パーカッションの春名さんは黄、ベースの藤岡さんは紫、ドラムの小林さんはオレンジ)デビュー当時は52Kg。脂肪は遠慮を知らない。(笑)今は67Kg。男の体重は分からない。女の体重は分からない見た感覚。

4.ピエロ

5.燃える想い

MC.有珠山が噴火した。昭和52年8月8日、札幌厚生年金会館で初コンサート。その日に有珠山が爆発した。歌い終わって、外に出ると灰交じりの雨が降っていた。今は札幌市内では地震も津波もないです。昭和52年のときには東京ドーム70杯分の灰が降った。北大の教授がドームを使って測った。(笑)明治のときにはそれの20〜30倍。「燃える想い」は愛の歌。LOVEの歌。(笑)最近のガキはなめている。特に女、恥じらいがない。礼節がない。まあ、俺には言われたくないだろうが…。(笑)俺も携帯を持っていて、ある時に電話が鳴った。番号はあまり知られていない、相手の女の子は「松山千春さんですか」「はい、そうです。」「間違えました」(笑)恋愛に古い形、新しい形はない。価値ある恋愛か価値のない恋愛かの2つしかない。私も44年も生きてきて価値のない恋愛も数多い。今回のアルバム(LaLaLa)は夏目がすべてアレンジしてくれた。一途は若いニーちゃんを連れてきてレコーディング。ステージでは誰もハーモニカをやらない。そこで、一番若いたつがハーモニカをやることになった。ギターを弾きながら、ハーモニカを吹く。大変そうだが、俺はしゃべりながら歌う。(笑)まだ甘えがある。2週間練習した。

6.一途

MC.ハーモニカはどうだった。(会場から拍手)3月に入院していた。小渕さんは大変だ。いろいろと縁があって、外務大臣のときにステージにあがってもらったことがある。SPが3人もついていた。俺は歯で入院していた。俺の歯茎は上の方は薄い。髪も薄いので、ダブルだ。インプラント、腰の骨を移植して歯茎につけた。歌っていると骨が横から出ている感じがして、先生に電話した。「気になりますか。」「白いのが出ています。」「それはたまにあるケースです。」(笑)「押したりすると痛い。」「それなら大丈夫です。」一度北海道に戻ったら、医者に行く。医者とか役場の人間は威厳を持ってやって欲しい。全身麻酔をするときに山下先生(担当医)がヘアキャップをしているみたいで面白かった。痛くないからと何度も言われると余計に不安になる。夏に穴を空けて、来年歯を入れる。抜歯は大変。俺はちょっとでも口の中を触られると「おえー」と吐きそうになる。抜歯も全身麻酔でやった。(驚)神奈川県警の不祥事、新潟はひどかった。ストーカーには気をつけなさい。きれい、汚いは関係ない。(笑)キャリアとノンキャリア。今日はほとんどがノンキャリア。(笑)メンバーは春名さん以外はノンキャリア。春の選抜で東海大相模が優勝したので、ベイスターズも優勝。権藤さんを励ます会があって、俺が司会。ゲストに東尾が来た。松坂が取れなかったのは日本一になったせい。本当に欲しいのは口には出せないけど、東尾はローズ、権ちゃんは松坂。キャリアという言葉の使い方が間違っている。現場でがんばって来た人がキャリア、ペーパーテストで受かったのはノンキャリア。彼らはたくさんミスを数多くしている。官僚が一番多く、大きなミスを犯したのは第2次世界大戦。リメンバーパールハーバー。当時の国際ルールでは宣戦布告すれば正当な戦争と見なされる。実は日本軍は5時間前にアメリカの大使に打電をしていた。しかし、その日は人事異動があって、歓送迎会をしていた。官僚もその電報を見なかった。翌日慌てて、国務省に行ったがすでに2時間前に真珠湾を攻撃していた。今日出来ることは今日やろう。そういうミスが命取りにならない世の中になって欲しい。

7.冗談じゃねえ

MC. 入院中にいろいろと考えた。5年前は親父が足寄の病院で同級生に看取ってもらった。果たして親父の人生は満たされたのか、幸せだったのか。貧しい北海道の田舎で生まれて青春時代は戦争中で、その後は食っていくために努力して、自分の信念に基づいて小さな新聞を作って、最後はぼけてしまい、ばい菌が入って足を切ってしまった。どこに親父の幸せがあったのか。家は貧しく、厳しかった。でも、そこには日常があった。些細なことに泣いたり笑ったりした。われわれは日常的なものを追いかけて、求めている。今は日常的なものに感動や充実感が持てない。些細なことに笑えない。これは豊かなことではなく、貧しいことではないか。日常的な生活に素直に笑ったり、泣いたり、感動できるか。幸せな毎日を送っているか。

8.オホーツク

9.夕焼け

MC.できれば、日常的なことに感動できるような純粋な心を…。今日のテーマは宮沢賢治。雨にも負けず、風にも負けず、だったか。初日だから違う話をする。歯医者で昨年入院したときに、患者で千春のファンがいるから会ってくれないかと言われた。末期ガンの男性に会ってくれと山下先生に言われ、俺の病室に連れてきた。俺の顔を見て、「本物だ」と言われた。「千春さんだ。大丈夫ですか。」「お前こそ。がんばれ」「サインをして欲しい」と何年か前の黄色のタオルを持ってきて、サインをしてくれと言われた。コンサートの来たことがあるんだ。そのタオルは普段枕カバーに使っていた。「サインしてもらったから、もう枕には巻けない。これは横に置いておきます。」お前もがんばれと言ったが、この間病院に行ったときにその患者さんは亡くなったと聞いた。あの日だけは特別に体調が良かった。それまでは寝たきり。人の命はどうなるか分からない。1分1秒を大切にして下さい。たまたま俺の歌が好きで、サインをもらったタオルを置いて。そんなに新しい訳でもない会場に足を運んでくれて。くたばったら、皆に「おつかれ、ごくろう」と言う。人間誰しも、最後の一息まで生きることに誇りを持って欲しいと思います。

10.君に

本編終了(20:20)

アンコール:開始(20:22)

1.人生の空から

2.浜辺

MC.それでは3ヶ月ぶりなので、精一杯がんばりたいと思います。まだ、8:30.今日は相当アンコールが出来る。

3.長い夜

MC.(歯の治療で)腰の骨を取っているので、飛んだり跳ねたりは出来ない。傷口が開いてしまう。(千春を見守って20年という横断幕が2Fに掲げられました。)

4.眠れない

MC.この前、2時のホント終了前に一度出てくれと言われて出た。おすぎとピーコは55歳。目指せ、金さん銀さん。おすぎがずっと俺を狙っていた。ある時、足寄の家にコンサートから帰ったら、台所におすぎがいた。まず家族から落としていく作戦。4月10日にスマスマにでる。ジャニーズは嫌いだが、スマップはいい。キムタクはかっこいい。4月10日は生放送。よく俺を選んだ。(笑)俺はデビ夫人よりも危ない。料理は何を頼むのか。甘える口調で「今日はね〜」(笑)俺の好きなものが書いてあって、そこから選ぶ。中居が長い夜を歌う。(会場からブーイング)夜空ノムコウを一緒に歌う。昨日、CDを買ってきて聞いた。バンドのメンバーも何人かが行く。スマップはスマップ。歌って踊れて、司会も出来て。私は頑なに歌しか出来ない。リハーサルとして歌う。

5.夜空ノムコウ

MC.今は練習中だから。どんな時でも言い訳できるというのはすごい。スマップは歌は下手。でも、その世界がある。ひろみ(注:郷ひろみ)もそう、自分の世界を持ってしまいなさい。「No.1」ではなく「only one」になりなさい。この頃は壊れてしまっている。(会場から「残照」歌っての声に「歌う気はない」、「春の足音」も主人の誕生日なのでという会場からの声にこれも歌う気はないと言いながら、円山さんに)Gで?Cで?これはマイナーな曲です。(爆笑)

6.春の足音

MC.自分が一番好きな曲を出そうとする。レコード会社の意見は聞かない。フジテレビでそのうちにドラマになる。その主題歌として「君に」を作った。広島の津田炎のストッパーを題材にしたもの。広島カープが札幌に来たときに当時の山本監督から津田の脳腫瘍の事実を聞かされた。アルバム名「LaLaLa」。安易だった。もっと深く考えれば良かった。でも、小田の方がひどい。コンサートのリハーサルをやっていたら、隣のスタジオにいた。そう言えば、今日も花がきていた。小田は「20日間もリハーサルをやっている。」「千春は?」「俺は今日来て明日帰る。」(笑)4/5スタートで3/27にリハーサルをやっていた。皆に新鮮なものを聞いてもらいたかった。JRAのCMの曲あれはいい歌。タイトルは「wow oh」。次の曲は早口で歌わなければいけない。ちょっと自信がない。

7.夢

アンコール:終了(21:08)

アンコール:開始(21:10)

MC.このメンバーで最後までがんばる。2000年最初のコンサートを横須賀で迎えられて良かった。皆様のご健康とご多幸を祈願して挨拶といたします。(笑)

1.春の歌

アンコール:終了(21:18)
 
 
 



No 1   ゆうこさんより  (4/11掲載)

2000年 4月5日 よこすか芸術劇場(MCは順不同)

                  春の優しい雨に包まれて、千春の2000年春のツアーが始まりました。
                  初日を飾るのは「よこすか芸術劇場」。
                  以前どこかのコンサートで、
                  「よこすか芸術劇場は本当にきれいな会館だなあ・・」
                  と千春が言っていたように、
                  ヨーロッパのオペラハウスを思わせる会場は象牙色と赤の2色でまとめられ、
                  中央の平土間席を4層のバルコニー型の客席がぐるっと取り囲むような形になっています。
                  始めチケットを手にした時には、
                  「えっ!4階席!」とかなりショックだったのですが、
                  (実際には5階席までありました)
                  バルコニー型である為どの席もステージからさほど遠くはなく、
                  かえってステージとの一体感を感じやすい造りになっていると思いました。

                  さて、十分余裕を持って会館のある汐入の駅に降り立ったのが、
                  3時を少し回った頃。
                  早速、楽屋口のチェック!
                  時間が早すぎるためか、並んでいる人はまだ誰もいません。
                  少し時間を潰そうと、会館周辺の散策に出ました。
                  駅のロータリーを抜けると、もうそこは海。
                  こんなに近くに海が迫っているとは気がつきませんでした。
                  赤潮のせいか、茶色く淀んだ海面に、雨に流されたゴミが浮遊しています。
                  まず目に飛び込んできたのが、港に浮かぶ2艘の軍艦と甲板にはためく日章旗。
                  これから千春に逢おうと胸をときめかせている私には、
                  それはずいぶん非現実的な風景に映りました。
                  港のそばには工事中の公園があって、その片隅に、
                  第2次大戦で撃沈された軍艦の碑が雨の中にひっそりと立っていました。
                  そこに書かれた正岡子規の歌を読みながら、
                  ふと、千春もこの歌を読んだのだろうか・・とそんなことを考えていました。

                  その後ステージで千春の話を聞きながら、
                  私は、はからずもこの雨の港の景色をもう一度思い出すことになるのです。
                  千春もきっと、雨の港に停泊するこの軍艦に目を止めたに違いないと思います。

                  そうこうしているうちに、時計は3時半を回っていました。
                  そろそろいいかな?と楽屋口へ回ってみると、
                  さっきはいなかったスタッフの男の人が立っています。
                  そしてちらほら千春ファンらしき人も。
                  「あのう、千春の入り待ちですか」と聞いてみると、
                  「今日はもう入っちゃったみたいですよ」
                  「えっ!(゚-゚)」
                  何ということでしょう。
                  私が雨の海に思いを馳せている間に、千春は会館へ入ってしまっていたのです。
                  ショック・・。せっかく勇んで早く出てきたのに・・。(~_~;)

                  「ここさあ、ホテルが目の前なんだよな。もう、歩いて3〜4歩だもの。
                   俺の足でだぞ。」(笑い)
                  そうかあ。プリンスホテルに泊まっていたんだ・・。
                  会館はプリンスホテルと同じビルに入っているのです。
                  ホテルの正面玄関から、楽屋口まで2分とかからなかったでしょう。
                  いつものように車で楽屋口に乗り付けるものと思い込んでいた私。
                  千春は歩いて入ったのですね。
                  ちなみにこの日は前日から泊まっていたということです。

                  気を取りなおして、コンサートの開演時間を待ちました。

                  *******   *******   *******  

                  去年の国際フォーラム以来、4ヶ月ぶりの千春との再会。
                  私にとって冬はいつも、千春を待つ時です。
                  「待つことの楽しさを教えてくれたのは千春」とある友達も言っていましたが、
                  ただひたすら待つことによって知らぬ間に蓄えられていたエネルギーが、
                  この瞬間に一気に解き放たれます。
                  会場の皆も同じ思いなのでしょう。
                  待ちきれず、客席のあちらこちらから千春コールがあがります。
                  さすがに少し緊張気味の私。

                  胸の高鳴りが頂点に達した時、幕が開きました。
                  「あらら・・?このイントロは何?」
                  そんな思いと共に始まった春のツアー、オープニングの1曲目。
                  ステージ中央へとゆっくりと歩み寄る千春。
                  少しふっくらしたかな?と思わせる元気な表情に、
                  最近定番になった顎鬚と口髭がシャープさを添えています。
                  春らしい、優しくやわらかなミルクティー色のスーツに身を包んで、
                  いつものように歌い始めました。
                  私の中で4ヶ月の時の流れが一瞬にして消え去っていきます。
                  「お帰りなさい、千春!」

                  でも、この曲は・・?
                  耳慣れないメロディーは、明らかに新しいアルバム「La La La」からでしょう。
                  でも一体何?
                  頭の中でアルバム「La La La」の全曲名が駆け巡っています。
                  その疑問はサビのところで解けました。
                  キーボードが奏でるリフレインに乗って歌う千春。「La La La・・」。
                  そうです、2000年春の第1曲目は
                  ♪ La La La

                  「俺も緊張するさ、久しぶりだからなあ。
                   もう早速出だしを間違えてしまったよ。」(笑い)
                  「最初の2小節、休むところをさあ、早く出てしまってさ。
                  『君に〜』ってな。
                  仕方ないから、『き〜〜〜』って伸ばしたもんなぁ、2小節。」(爆笑)

                  ・・確かこのような内容だったと思うのですが、
                  久しぶりの生の千春に舞い上がってしまって、
                  この辺の記憶がちょっと怪しいです。
                  「お前達、気にするな。俺が気にしてないんだから。」(笑い)

                  「俺昔は、52キロしかなかったんだよ。細かったべ?
                   それが今は、67キロ(確か)だもの、なあ。」
                  「脂肪は遠慮しないな。」(爆笑)
                  「男はさ、大体分かるべ?体重。女は分からんなあ。
                   見た感じでしか言えないもん。
                   『私、40キロ(だったかなあ)』って言われても、なあ、
                   『太い!』」(爆笑) 
                  いつもどおりの饒舌が冴えます。

                  ツアー初日のステージは、千春も緊張するのですね。
                  「もうひとりのガリレオ」の時もそうでした。
                  あの時は千春の緊張がこちらに伝わってきて、
                  見ている私達も思わず緊張してしまったのでした。
                  それから去年の春の初日「府中芸術の森」もそうだったと聞いています。

                  「今日は俺は、お前達の顔色を見ながら歌わなきゃならないんだぞ。
                   ツアーを通してな、同じ歌を歌うかどうかは今日のお前達にかかってるんだ。
                   なあ、だからお前達、今日はただの客じゃなくて
                   松山千春の総合プロデューサーなんだぞ。」

                   そう言いながらの2曲目は比較的最近の曲。
                  ♪ 君は僕

                  「横須賀以外から、電車や車やバスや自転車(笑い)なんかで来たやつ、
                   ちょっと拍手して。」・・ かなりの拍手。
                  「そうかあ、みんなけっこう遠くから来てくれてるんだなあ。
                   しかもだぞ(と言って上を見上げて)、
                   そうやって壁に張り付いたりして、ねえ、親戚でもないのに。」(笑い)
                  (千春お得意のジョークですね。でも何度聞いてもその度に笑ってしまうのですよね。)

                  そして懐かしい曲が続きます。
                  3曲目 ♪ 車を止めて
                  4曲目 ♪ ピエロ

                  『ピエロ』は、イントロが流れると共に、客席から拍手が湧き起こりました。
                  そして間奏でもまた拍手・・。
                  「そうかあ・・、お前達この曲好きなんだなあ・・。」と、嬉しそうな千春。
                  歌い始めてからの拍手というのは、やはり気持ちがいいのですね。(^。^)
                  はい、私も『ピエロ』大好きです。(*^_^*)

                  実は今回のツアーに関しては、ちょっと心配していたことがありました。
                  それは、ツアー直前に腰の骨を顎に移植するという手術をして、
                  『風のせ』で「腹筋が使えない」と千春が言っていたこと。
                  今日のステージでも、
                  「医者に跳んだり跳ねたりするなって言われてるんだよな。
                   腰の傷口が開いちゃうんだって。」と言っていました。
                  確かに今日の千春は全体的に動きが少ない。
                  というよりも、譜面台からほとんど離れないという感じでした。
                  千春、歌詞が怪しいのかなあ・・と心配してしまうほど。
                  そんな風に思ったのは私だけでしょうか。

                  喉の調子そのものは、ツアー初日としてはまずまずだったと思います。
                  声が枯れることは一度もなかったし、高音部もきれいに出ていました。
                  ただやはり、感じました。
                  千春、思いっ切り力めないんだなあ・・と。
                  お腹の底からうねるように響いてきて、
                  会場全体を呑み込んでしまうような、あの迫力ある熱唱。
                  昨年の神奈川県民、国際フォーラムで歌った『残照』や『愛しているから』
                  のような、あの渾身の熱唱と言えるものがなかったのがちょっと寂しかった。
                  でもそれもステージを重ねる毎に、きっと戻ってくると思います。

                  5曲目は千春の高音が美しいバラード。
                  ♪ 燃える思い

                  先日友情出演した『2時のホント』の話になって、
                  「おすぎがさあ、ずっと前から俺のことを狙っててさあ。」
                  何て趣味がいいんでしょう、おすぎ。(*^_^*)
                  少し見なおしてしまった・・(笑い)。
                  「昔な、コンサートが終わって足寄のうちに帰ったんだよ。
                   お、ただいまあってな。
                   そしたらさあ、おすぎが包丁持って台所に立ってるんだよ。(笑い)
                  『あら、お帰り〜\(^o^)/』てな。
                   お前、考えてみろ。うちに帰ったらだぞ、おかまが台所で、
                   こう包丁持って『トン、トン』やってるんだぞ。たまらんわなあ。」(爆笑)
                  「おすぎもな、俺を落とすにはまず家族からだって、
                   親父とお袋と仲良くなっちゃってさあ・・」
                  そのおすぎと千春はいまでも仲良くしているのですね。
                  『2時のホント』でおすぎの右手に千春からのプレゼントの
                   大きなダイヤの指輪が光っていましたね!

                  6曲目はがらっとアレンジを変えた、
                  ♪ 一途
                  これには正直言って、びっくりしました。
                  去年の夏恵比寿で聴いた時は、ギターの弾き語り。
                  淡々とした調子で始まって、クライマックスへ向かって一気に駆け上がって行く、
                  そんな千春独特のスタイルがこぎみよく決まっている1曲でした。
                  それが夏目さんの新鮮なアレンジで、全く雰囲気の違う曲に生まれ変わっていました。
                  生きのいい1曲!そんな感じでしょうか。

                  「夏目がさ、張り切ってハーモニカのアレンジをしてな。
                   で、レコーディングしたのはいいんだけど、うちのメンバーいないんだよ、
                   ハーモニカ吹けるやつ。で、好永お前がやれってことになって、なあ。
                   どうだ?大丈夫か?」
                  吉永さん、実にかっこよかったですよ!

                  歯の治療のため全身麻酔で入院したと言う話になって、
                  「俺、口の中に何か入れられるのだめなんだよ。オェッってなるんだよ。」(笑い)
                  この千春の「オェッ」が実に可愛いんです。(^。^)
                  「だから、抜糸の時も全身麻酔しなきゃなんないんだ。」
                  抜糸って、はさみでパチンと糸切って、それをちょっと引っ張って抜くだけですよね。
                  そうかあ・・、千春それもだめなんだ。
                  でも、全身麻酔ってそんなに何度もやっていいんでしょうか。
                  体にいいとは思えませんね。
                  ちょっと心配です。

                  それから、腰の骨を移植した顎のところが気になるという話をして、
                  「でさ、山下先生(確かこの名前だったような・・)に電話して言ったんだよ。
                   『先生、ここのところ、なんか骨が出てるような気がするんですけど・・』って言ったらさ、
                   『痛いか?』
                   『いや、痛くはないんですけど。』
                   『気になるか?』
                   気になるから電話してるんだよなあ。(笑い)」

                  「あれだな、医者や看護婦は威厳を持たなきゃだめだな。
                   手術の前にな、『千春、大丈夫だから。痛くないから。』って
                   何度も言うんだよ。『痛くないから、痛くないからね。』ってさあ。
                   子供じゃないんだからさあ、そう何度も言われると、
                   大丈夫かなあなんて気になるよな。
                   こう言う時には一言、『私に任せなさい!』でいいんだよな。」
                   
                  今の時代は自信を持って、「私に任せなさい」ということが難しくなっていると思います。
                  「私に任せなさい」って本当に言っていいんだろうか?
                  そう言って、失敗したら立場がない。責任はどうやってとったらいい?
                  そんなことを考え始めたら、もう果てしない堂々巡りになってしまって、
                  結局言う機会を逸してしまう。
                  みんな自分で言えないからこそ、
                  逆に言ってくれる誰か、カリスマを求める。
                  そして一つ間違えると、危ない宗教にのめりこんで、自分を見失ってしまう。
                  千春にはよくカリスマ性があると言われます。
                  でもこの「カリスマ」という言葉、どうも私にはピンとこないのです。

                  千春は決して、「俺について来い」とは言っていない。
                  「俺のように生きろ」とも言っていない。
                  千春が言っているのは、
                  「自分で回りなさい」ということ。
                  「自分で回る」、そのことに意味を見出しなさいということ。
                  そして「自分で回った」結果倒れたとしても、何も卑下することはない。
                  だって、あなたは自分の足を軸にして、自分の力で回ったのだから。
                  倒れたら、また起き上がればいいじゃないか。
                  そうやって、自分の道を歩いていってほしい。
                  松山千春のような道ではなくて、あなただけの道を・・。

                  と、思いっ切り脱線してしまいました。(~_~;)
                  レポートに戻りましょうね。

                  次の話題は、最近世間を騒がせている警察の不祥事。
                  キャリアの犯したミスの例として、千春は、
                  第2次世界大戦の引き金となった真珠湾攻撃の話をしてくれました。
                  「いまでもアメリカ人はな、『Remember Pearl Harbor !』って言って、
                   この日のことを忘れてはいないんだ。それはな、その頃は戦争をする時、
                   『これから、攻めるぞ!』って言う宣戦布告をすることになっていたんだ。
                   けどな、真珠湾の時、日本はそれをしなかった。だから日本のやり方は汚い、
                   卑怯だってな。そう言われてるんだ。
                   だがな、本当は日本はちゃんとしたんだよ、宣戦布告。
                   日本大使館に、これからアメリカを攻めるってな打電したんだよ。
                   ところがその日、大使館では運悪く、歓送迎会をやっていたんだな。で、
                   誰もその電報を見なかった。後で知って慌てて、知らせたんだけど、
                   もう、真珠湾を攻撃した後だったんだ。これがキャリアの犯した最大のミスだな。」
                  知らなかった・・。

                  「キャリア、ノンキャリアっていうけどな、
                   どだい言葉の使い方が間違ってないか?」
                  「キャリアって言うのはな、交番でな、毎日毎日自転車に乗って、
                   市民の安全を守りながら経験を積み上げている、
                   そう言う現場の警官のことを言うんだ。
                   役所の窓口でな、『えー、この税金の申告のし方はですね・・』
                   なんて言ってな、我々庶民にな、日々教えてくれてる、
                   そう言う人間のことをキャリアって言うんだ。
                   それでな、学校出たばかりで、現場の経験の全くない人間達を、
                   ノンキャリアって言うんだ。」

                  そう言いながら力強く歌い上げた7曲目
                  ♪ 冗談じゃねえ

                  「親父の人生は幸せだったのかなあ・・。
                   自分の意志を貫いて、全然売れない新聞を作って、
                   最後にはボケてしまったけどさあ・・」
                  しみじみとした口調の千春。
                  「でもそこには日常があったんだよな。
                   日常と言うものがあったんだよ。
                   お前達、最近あまりにも非日常を求めていないか?
                   非日常的なものに価値をおいていないか?」
                  千春の鋭いメッセージが、心に染みます。
                  このことは『2時のホント』でも言っていましたね。

                  芸能界といういわば非日常的な世界にいながら、
                  千春はしっかり日常という大地に立っている。
                  「自分で回る」時、その軸は「日常」に立っていなければならない。
                  日常から遊離してしまっては、自らの回転の力で飛ばされてしまうだけ。

                  コンサートで聞く千春の一言一言が、いつも私に自分を見つめなおさせます。

                  8曲目は、『La La La』から
                  ♪ オホーツク

                  千春にとっての日常を象徴するオホーツクの海。
                  雄大に伸びる千春の歌声。
                  これを聴いて誰もが思い出すのが、千春のデビュー当時の曲『オホーツクの海』。
                  23年という歳月を経た今も、千春にとってオホーツクは少しも変わらずにそこにある。
                  千春の日常が少しも色あせないように・・。

                  9曲目
                  ♪ 夕焼け

                  今回の春のツアーのメッセージを託す有名人として、千春は、
                  99年秋の夏目漱石に次いで、やはり作家である宮沢賢治の名前を挙げました。
                  千春の口からその前が飛び出した時、「なるほど・・」と、
                  妙に納得してしまった私。
                  それほど、千春と宮沢賢治にはある種の共通項があるような気がしたのです。
                  いつも空を見上げ、風の声に耳を澄ませ、
                  光と影を見つめながら、大宇宙を感じ続けた賢治。
                  そんな賢治の世界から千春はどんなメッセージを運んでくれるのでしょうか。
                  嬉しくて身震いしていた私。
                  ところが、「今日は初日だからな、違う話をしよう!」
                  えっ!話さないのー?聞きたかったのに・・。
                  この話は、大宮のコンサートまでお預けですね。

                  そして千春が話し出したのは、
                  昨年抜歯の為に入院していた時出会った、ある青年のことでした。
                  その青年は千春の大ファンでした。先生の計らいで千春に逢うことができた彼は、
                  「本当だ。本当の千春さんだ。」と感激していたそうです。
                  そして、千春のキャラクタータオルにサインをしてもらって、
                  「もうこれ枕に巻けない・・」と。
                  昨年の暮れ、再度病院を訪れた時、千春はその青年に再会することはできませんでした。
                  彼は、すでに遠くへと旅立ってしまっていたのです。
                  「あいつ、俺よりずっと若かったんだよなあ・・」
                  この数年の間に大切な人を何人も失ってきた千春。
                  しみじみと深い言葉で語ります。
                  「みんな、最後まで生きることに誇りを持ってもらいたいです。」

                  千春はいつでも、自分の人生に誇りをもって生きてきた。
                  「みんな、number one でなく、only one になってほしい。」
                  千春がよく口にする言葉ですね。
                  たとえどんな辛い人生であっても、only one の人生だからこそ、
                  だからこそ、誇りを持って生きられる。
                  Number oneの人生はnumber twoによって取って替えられることがあるけど、
                  Only oneの人生は他のなにものにも変えられないから。
                  だから、悩んだり、転んだり、行き詰まったりすることにも全部意味がある。
                  だから、「自分で回る」ことを恐れるなと、
                  千春はそう言っているような気がしました。

                  本編ラスト10曲目
                  ♪ 君に

                  アンコール

                  匂い立つバラの花のような、あでやかなピンクのシャツに白いズボンで登場した千春。
                  アンコール1曲目(11曲目)は
                  ♪ 人生の空から

                  続いて2曲目(12曲目)
                  ♪ 浜辺
                  この曲はオリジナルとずいぶん違うアレンジがされていて、新鮮!

                  そして、3曲目(13曲目)は待ってました!
                  ♪ 長い夜
                  下を見下ろすと、平土間席はほぼ総立ち状態。

                  その後話しながら(か歌いながら)、いきなり「眠れない」と千春。
                  「えっ?千春、眠れないの?何?不眠症?」
                  いえいえ、これは「次の曲、『眠れない』ね。」という意味でした(笑い)。

                  4曲目(14曲目)
                  ♪ 眠れない

                  次は「まだ練習中」と言いながら歌ってくれた、
                  5曲目(15曲目)
                  ♪ 夜空ノムコウ
                  SMAPの歌うこの歌は何度か聞いたことがあって、
                  淡い優しさの中にクールな雰囲気のある曲、
                  と言うイメージを持っていましたが、千春が歌うと、
                  そこに鮮やかな深みが加わります。
                  やっぱり、千春には「華」があるのですね。
                  「夜空ノムコウ」は完全に千春の世界になっていました。

                  ここでバルコニー席から叫び声が、
                  「何?『残照』歌って?
                   今日は歌う気なし!」
                  去年の秋歌ってるからなあ・・。でも聴きたかった、もう一度。
                  「何々?『今日は主人の誕生日です。「春の足音」歌ってください。』
                   それも歌うつもりない。」
                  と言いながらも、「主人、どこよ?何?そこにいるの?」
                  年を聞く千春。52歳のお誕生日だそうです。おめでとうございます!
                  「でもメンバー、できないよな。『春の足音』。
                   ももちゃん、できる?」
                  急きょ、譜面が出てきて、ももちゃんOKの合図。
                  「出だしはCですね。」
                  「ももちゃん、違うところ見てませんか。これ、マイナーの曲なんですけど。(笑い)」
                  といいながらも、フルコーラスで歌ったくれた『春の足音』、良かったです。

                  6曲目(16曲目)
                  ♪ 春の足音

                  そして7曲目(17曲目)は新曲で
                  ♪ 夢
                  「これ、やたら早いんだよ。うまくできるかどうかちょっと分からないけど・・」
                  と言いながら歌ってくれました。
                  千春の曲の中ではちょっと異色な1曲。

                  ここで一度幕が下りて、
                  再度アンコール
                  8曲目(18曲目)
                  ♪ 春の歌

                  2000年春のオープニングのステージを飾るにふさわしい、
                  ラストの1曲になりました。

                  夏目さんが全アレンジを担当したと言うアルバム『La La la』
                  から、「La La La」「一途」「君に」「オホーツク」「夢」の5曲を聞くことができました。
                  どれも、新鮮なアレンジがとても良かった!
                  ただ残念だったのは、千春渾身の絶唱!と呼べる歌がなかったこと。
                  やはり、腹筋のせいでしょうか・・。
                  これから徐々にパワーアップしていく千春に期待したいと思います!

Back to Biography&Discography or 1Page